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今年こそ日常を・・・

 一昨年の2月19日に行われるはずだった、西川チェーン専門店の関東地区部会と言う組織の総会が前々日に中止とな りました。

 西川本社などから来賓や、講師を招いて行うもので、私はその役員をさせていただいています。当日の運営にとても緊張いたしますが、皆と会える楽しい時でもあります。関東地区部会は、埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の5県からなり、各県持ち回りで総会を開きます。この年は茨城県の皆さんの担当で、北茨城市の五浦(いづら)温泉で行う予定でした。

 その前日、私に西川の部長から「政府から大きい会合などは行わないように、要請がありました。なので明後日の総会は中止です」と、連絡がはいりました。

 しばらく旅行に行ってなかったのと、何より温泉に入り、皆さんと食事をして話すのを本当に楽しみにしておりました。

 

 五浦までは電車ではとても遠いので、水戸の久野ふとん店さんに車で連れて行ってもらおうと前日入りし、水戸で夜の食事を約束していました。

 久野さんはお兄さん的な存在で、いつも的確なアドバイスをくださったりと、お世話になっており、お話するのがとても楽しいのです。

 

 

水戸駅前の水戸黄門と、すけ、さんかくさんの像。

実は黄門様は光圀公の後の殿様も「黄門様」でした。

沢山いらっしゃいます。

「水戸の前泊もやめようか・・・」

この時はコロナと言っても、何となくまだ隣での出来事のように感じられていました。

「でも、水戸に行きたいな」。と思い、久野さんに「予定通りそちらに行きます」。と伝えると、「水戸で飲むよりも、五浦まで行こうよ」。との一言で、五浦行きが決まりました。他に、仲良しの加須市の西川チェーン店の嶋林さんも来るとの事、政府からの会合等中止の要請も出るくらいなので、「ちょっと恐いかな」と思いながらも行って参りました。

 その前に水戸市内を観光しようと、午前中から水戸入り致しましたが、そのお話はまた今度書かせていただきます。

 久野さんの車に乗せて頂き、いよいよ北茨城へ出発です。時間は18時、外は真っ暗です。常磐自動車道は他に車は走っていません。

 五浦温泉・大観荘へは昭和60年に開催されたつくば万博の時に行った以来37年ぶりです。その当時は北茨城インターまで高速道路が開通しておらず、一般道を長い時間車に揺られた記憶があります。

「水戸からも距離がありますね」1時間は経ったでしょうか、やっと五浦へ到着いたしました。

 旅館に入ると「こんな感じだったかな?」と、37年前の事をあまり覚えていませんでした。

 ただ、あの時は客室の窓の下が切り立つ崖で、その下の遙かに波が打ち寄せ、高所恐怖症なのと、子供だったせいか、吸い込まれそうな海を見て恐かったのを覚えています。

 また、館内がものすごく広く迷ってしまった記憶があります。時間は20時近くです。嶋林さんも到着したので夕食にしました。

 実は大観荘の女将さんが、久野さんの学生時代の後輩だそうで、その縁で西川チェーン関東地区部会の総会を開く運びとなりましたが今回、急に中止になり、申し訳ないので役員だけで泊まりに来る事となったのです。

 ですが、旅館のお計らいで次の間もある立派な部屋を用意してくださいました。また、食事も常陸牛のステーキやキンキの煮付け、伊勢エビの味噌汁など「返って申し訳なかったですね」。ご厚意で良いメニューにしてくださり、恐縮してしまいました。

 久々の旅館の食事、「総会が出来る様になったら、ここで開こうね」。などと会話も弾み楽しかったです。

 一年ぶりでしょうか?久しぶりの温泉も本当に気持ちいい。温まった身体や顔に冷たい海風が心地よく、身体もリラックスできました。

そして部屋に戻り3人でお話します。やはり話しは仕事の話し。色々と地区部会の事や日々の事など、気づかされたりアドバイスされたり、刺激になりました。なかなかこの3人だけで旅行することは無いので、本当に楽しい時間を過ごせました。

 

客室からの日の出の眺め

 ぐっすり眠り翌朝、時間は6時30分過ぎです。部屋のカーテンを明けると、キラキラと朝凪(あさなぎ)の穏やかな海を、朱(あか)く照らしながら陽が昇ります。

 

「キレイだな、こんな日の出を見るの何年ぶりだろう?」そう言えば、学生の頃から日の出を見ていないかも知れません。こういう風景を見ると心が洗われるようと言うか、初日の出でなくても、自然と頭が下がります。

 着いた時は夜でしたので何も見えませんでしたが、崖の上に建つこの旅館からの眺めは、目の前に海が開けて、海と空との境目がくっきりと一望でき、遮るものがありません。左側に少しだけ見える松が、日本らしい風情を出しています。

 五浦と言えば海に張り出た所に建つ、岡倉天心の居住跡の六角堂が有名ですが、この旅館からも眺められます。

 

 朝食を済ませ帰りです。「貴史君、どこか行きたい所ないの?」と久野さんが聞かれました。

「もし、出来たら西山荘(せいざんそう)に行きたいです」。と言うと「よし、分かった。西山荘に行こう」。念願が叶いました。また次号お楽しみに。

 

 今年の総会は世の中の状況により、リモートと実際の会合と両方を用意するそうです。日常を取り戻せるのは、もう少し先だと思います。今年こそ安心して暮らせる年にしたいですね。